私は、この数年、北本市の国際化を進めたいと考えて、手始めに、親日国として有名なマレーシアへの訪問を繰り返している。
マレーシアを含むASEAN諸国は、国際語としての英語教育に、日本以上に力を入れている。シンガポールが突出しているが、マレーシアも水準が高い。
そこで、私としても、自分の英語力に磨きをかけるべきだと考え、勉強を続けている。
この間の教材として、NHKの英語教育プログラムを活用している。
そうした勉強の中で、実際に使えれば「カッコいい」と思える英語表現をピックアップすることにした。
若い方々に参考にしていただければ幸いである。
なお、私が勉強に活用し、ここに引用した英語表現は以下のNHK教材である。
*おとなの基礎英語・おもてなしの基礎英語・入門ビジネス英語・実践ビジネス英語・しごとの基礎英語
■1-1■
It is not the strongest of the species that survives.
nor the most intelligent that survives.
It is the one that is most adaptable to change.
日本語訳:
生き残る種は最強のものではなく
最も賢いものでもない。
変化に最も適応できるものである。
これは、あまりにも有名な、チャールズ・ダーウィン著「種の起源」(あるいは「種の起原」/原題:On the Origin of Species/初版は1859年)の一節である。
現代日本においては、自然科学の分野で使用される以上に、「生き残れる企業の条件」のように、ビジネスに関連して使用されることが多い。
しかし、それは日本語訳であって、原文を知っている人は稀である。
正直に言うと(To be honest with you)、偉そうにこの文章を書いている私も、原文に接したのはつい最近であった。
蛇足であるが、最初に接したその原文は冒頭の文と後半部分が、以下のように多少違っていた。
nor the most intelligent,
but the one most responsive to change.
「適応」あるいは「順応」と訳されている部分が「adaptable」ではなく「responsive」となっていた。
これは、「respond」という動詞を原型にした派生語であり、最近では、「ホームページが1ソースで、パソコンでもスマホでも見られる技術」として使われている。
150年以上の時を経て、引用が繰り返される中で、変化してしまったのかも知れないが、私としては、「responsive」の方がセンスがいいように思える。
■1-2■
It may be only a matter of time
before the web overtakes TV
in ad spendings.
日本語訳:
広告支出において
webがテレビを追い抜くのは
単に時間の問題かも知れない。
これまで、「時間の問題」という表現は、数知らず耳にしたし、自分でも使ったことがある。しかし、英語での表現を考えたことがなたった。
この「a matter of time」は、まさに直訳であり、英語表現として以前から存在していて、それが翻訳されて「時間の問題」と使用されるようになったのかも知れない。
いずれにしても、
It may be only a matter of time, isn't it?
と言えたら、カッコいいと思う。
■1-3■
I think
it’s worth investing
in this property.
日本語訳:
この不動産に
投資する価値があると
私は思います。
議論や交渉において、「~する価値がある」と主張することは重要なことである。自身の価値観や評価を明確にして、議論や交渉をリードすることになる。
この「worth investing」は、語順的には日本語と逆なので、使い切るのは難しい。それ故、この表現が使えればカッコいい。
また、上記の文より簡単な構造で、下記のような、直前の名刺を形容する表現もある。
It is a job worth doing.
It is an idea worth trying.
■1-4■
We should
make the most of
this opportunity.
日本語訳:
私たちは
この機会を
最大限活かすべきです。
議論や交渉において、「最大限活用すべき」と主張することはよくある状況ではないだろうか。相手に先んじて言いたいものである。
50年前の大学受験の和文英訳にも出てきそうな表現であるが、おそらくその時には、「maximize」というような単語を使おうとしていたに違いない。
「make the most of」と、易しい単語の組み合わせで表現できるとは驚きである。
また、ビジネスの世界では、「機会」という対応語は「opportunity」であり、「chance」が使われることは稀な気がする。
■1-5■
Our loss will be
way below forecast.
日本語訳:
私たちの損失は
予想よりはるかに低く
なるでしょう。
商談などのビジネスシーンでは、利益ばかりでなく損失の話題も出てくる。上記の表現は、そのまま使えそうである。
見慣れない単語は、「way」である。当然、「道/道筋」や「方法」として、高い頻度で目にする単語である。
しかし、上記の場合は、全く違って、後に続く単語を「その程度が高い」という意味を付け足す役割を果たしている。
使えたらカッコいいが、こちらは知らないで、相手に使われると、理解できず戸惑うことになる。
■1-6■
He became
the driving force
for completing this merger.
日本語訳:
彼は
この合併完成の
推進力に
なりました。
ビジネスにおいて、あるプロジェクトの中心的な役割を演じ、言わば「推進力」のことを、上記の文にあるように「the driving force」と表現するようだ。
また、「completing this merger」という表現をマスターしていれば、応用が効くと思われる。
例えば
「completing this project」とか
「completing this negotiation」のように、後半を入れ替えれば、様々な状況に対応できると思う。
さらに、上記の文から学べることは、「the driving force」と「completing this merger」とをつなぐ前置詞は「for」であることである。
文全体を記憶することのメリットは、このような前置詞のことを、感覚的に学べることである。
■1-7■
The results were
in line with
analysts’ estimates.
日本語訳:
結果は
アナリストの予測に
沿ったものになりました。
企業の業績に関して、専門家から素人まで様々な人が予測を立てる。その予測と結果について話になることは少なくない。
ここでは、「in line with」をマスターすることがポイントであるが、■1-5■の「way below forecast」を「in line with analysts’ estimates」と入れ替えて使うこともできる。
この文での注意点は、主語の「The results」が複数形であり、be動詞も必然的に「were」であることである。
■1-8■
To be specific,
this service is focused on
the Mekong River Basin area.
日本語訳:
具体的には
このサービスは
メコン川流域地域に
焦点を当てています。
この表現が出てくる直前の文脈は、例えば、、「東南アジアのある地域でこのサービス事業を展開する計画です」と説明して、相手の興味に応じてのものであると考えられる。
「specific」は、「specify」という動詞からの派生語であり、名詞の「specification」は、カタカタ英語「スペック」として使われている。
またこの文からは、動詞「focus」の補助をする前置詞は「on」であることが学べる。
■1-9■
A qualification in French
is desirable,
but not essential.
日本語訳:
フランス語の資格は
望ましいが、
必須ではありません。
ビジネスにおいて、特に求職の応募時には、能力を証明する資格の有無が話題になることが多い。「qualification in」はビジネスにおいては「essential」な言葉の一つである。
また、会議や商談において、条件を明示する場合、「is desirable, but not essential」のように対になっている表現は使ってみたいものである。
■1-10■
The factory closure
came as a sever blow
to the company’s reputation.
日本語訳:
その工場の閉鎖は
その企業の評判に
厳しい打撃を与えた。
この文の場合は、工場閉鎖により、所謂「危ない企業」という評判が立ち、体裁が悪いだけでなく、上場企業であれば、株価の下落にもつながりかねない。
使いたい英語表現というよりも、残念ながらこのご時世、頻繁に使わざるを得ない表現と言える。