使ってみたい英語表現 第6集

私は、この数年、北本市の国際化を進めたいと考えて、手始めに、親日国として有名なマレーシアへの訪問を繰り返している。
マレーシアを含むASEAN諸国は、国際語としての英語教育に、日本以上に力を入れている。シンガポールが突出しているが、マレーシアも水準が高い。
そこで、私としても、自分の英語力に磨きをかけるべきだと考え、勉強を続けている。
この間の教材として、NHKの英語教育プログラムを活用している。
そうした勉強の中で、実際に使えれば「カッコいい」と思える英語表現をピックアップすることにした。
若い方々に参考にしていただければ幸いである。
なお、私が勉強に活用し、ここに引用した英語表現は以下のNHK教材である。
*おとなの基礎英語・おもてなしの基礎英語・入門ビジネス英語・実践ビジネス英語・しごとの基礎英語

■6-1■

The government has relaxed
the regulation
to encourage cross-border trade.

日本語訳:
国際貿易を促進するために
その規制を
政府は緩和しました。

国際ビジネスにおいては、国ごとに異なる法律などの規制に注意しないと、大きな痛手をこうむることがある。
概ね、自国の産業を守ることが目的であるが、国際分業と互恵主義の原則に従えば、この文のように、「relax the regulation」されることになる。
また、「encourage」は、元々の意味は「勇気づける」であり、個人の感情に対して使われるが、このような使い方もある。
最後の「cross-border」は、「international」よりも、「国境を越える」という意味が加わり、リアリティが出ている。


■6-2■

We'd like to liaise
more closely
with your firm.

日本語訳:
あなたの会社と
もっと密接に
私たちは連絡をしたいと思います。

「連絡をとる・連携をはかる」という意味では、「keep in touch with」を使うと、平易で誰にでもわかる。
この文の「liaise」は、かなり難易度の高い言葉で、使えるとカッコいい。
元々は、フランス語から入った言葉のようで、名詞は「liaison」、「連絡事務所」と訳される「liaison office」で、お目にかかることがある。
因みに、私が若い頃働いていた広告代理店では、新聞・雑誌・テレビ会社と営業部門との橋渡しをする部署を「LIAISON」と呼んでいた。


■6-3■

What if
we changed payments terms
instead of
giving a price discount?

日本語訳:
値引きの代わりに
支払い条件を
私たちは変更したらどうでしょうか?

ビジネスの交渉では、価格が最大のポイントであることは間違いないが、交渉相手の資金繰りの問題から、支払いサイトなどの条件も重要である。
この文の「payments terms」はまさに、「支払い条件」のことであり、商談におけるキーワードである。
また、「What if」で始まるこの文は、文法的には「仮定法過去」と言われ、自然に「changed」を使えるようになるには、道が遠いかも知れない。


■6-4■

What a small world!

日本語訳:
何て小さな世界!

つまり、「The world is not as big as it seems.」ということである。
このような感嘆文は、主に日常会話での表現であるが、時としてビジネス分野で使っても許される。
例えば、知人二人を引き合わせてみたら、実は互いに古い友人であった時、瞬時にこの表現を使えればカッコいいと思う。


■6-5■

What brought you
to this seminar?

日本語訳:
このセミナーに
何があなたを連れてきたのか?

この文は、「何故、このセミナーへ参加したのですか?」と訳すべきかも知れない。そして、この日本文を大学受験的に英訳すれば、「Why did you take part in this seminar?」ということになる。
要するに、この文から学べることは、英語的な発想である。日本語的な発想から言えば、婉曲的で、擬人化された表現である。
さて、こう質問された時に、どう返答するか。カッコいい答え方を思いつかないことが残念である。


■6-6■

I think
it’s better to handle this issue
in face-to-face discussion.

日本語訳:
この問題を扱うには
顔を合わせての議論がよりいいと
私は思います。

ビジネスとは問題解決であると言われる。この場合は、「problem solving」と「problem」が使われるが、どちらかと言うと、この文のように「issue」が登場することが多い。「problem」にはネガティブなニュアンスがあるからだろうか。
また、「in face-to-face discussion」は様々な文脈でも使えそうであるが、オンラインミーティングも、こう言っていいのだろうか。


■6-7■

Gentrification has
a kind of
ripple effect.

日本語訳:
ある種の波及効果が
ジェントリフィケイションにはあります。

この文の「gentrification」とは、老朽化してスラム化の始まった地区に、中級以上の住宅と商業施設を誘致して、街を蘇らせる事業のことを意味する。
この文のポイントであり、使ってみたい表現は「ripple effect」である。「ripple」は「小さな波」、「波紋」であり、合せると、「波及効果」ということになる。
ripple effect」が先にあり、翻訳として「波及効果」が生まれたのか、偶然一致しているのか。知らいたいものである。
また、「has」の訳し方であるが、「~にはあります」が妥当なところであろうか。


■6-8■

They are leaving
in numbers
because of mass evictions.

日本語訳:
大量立ち退きのため
彼らは大勢でそこを離れています。

直訳的に、「leaving」を「そこから離れている」と訳したが、要は引っ越していることである。この「leave」という動詞は、「move」とは逆に、出発地点を意識した動詞である。日本語的な発想と逆であり、使いにくい。
しかし、この文では到達点は問題ではなく、その地域から出ていく状況であるから、まさに「leave」が相応しい。
文末の「eviction」は日常会話には出てこないが、ビジネスや政治の分野では使われるので、身に着けておきたい言葉である。


■6-9■

In these days,
a million bucks is
chump change.

最近では
100万ドルは
はした金です。

冒頭の「In these days,」は、この数日という意味ではなく、最近10年くらいはカバーするかも知れない。
また、「buck」とは、「1ドル紙幣」の俗語であるが、文脈によっては、ビジネスの分野でも使えると思う。
さて、文末の「chump change」は「取るに足りないお釣り」が直訳であり、「はした金」と訳すべきであろう。
「はした金」には、他にも「birdseed」、「chicken feed」などがあるが、ビジネスでは、芸がないが、「small amount of money」 と表現した方がいいと思う。


■6-10■

The factory
will generate
thousands of new jobs.

日本語訳:
何千もの新しい雇用を
その工場は生み出すでしょう。

generate」は、発電などの物理的な分野で使われるという印象がある。しかし、このように「new jobs」にも使うことができる。
「生み出す」には他にも、「produce」、「create」があるが、「job」には、「generate」が相応しいようである。
因みに、「produce」の、名詞形「production」は動詞の意味の延長であるが、「generate」の名詞形「generation」は、「5G」のように、「世代」という意味で使われ、元々の「発生」という意味で使われることは少ないようだ。