使ってみたい英語表現 第7集

私は、この数年、北本市の国際化を進めたいと考えて、手始めに、親日国として有名なマレーシアへの訪問を繰り返している。
マレーシアを含むASEAN諸国は、国際語としての英語教育に、日本以上に力を入れている。シンガポールが突出しているが、マレーシアも水準が高い。
そこで、私としても、自分の英語力に磨きをかけるべきだと考え、勉強を続けている。
この間の教材として、NHKの英語教育プログラムを活用している。
そうした勉強の中で、実際に使えれば「カッコいい」と思える英語表現をピックアップすることにした。
若い方々に参考にしていただければ幸いである。
なお、私が勉強に活用し、ここに引用した英語表現は以下のNHK教材である。
*おとなの基礎英語・おもてなしの基礎英語・入門ビジネス英語・実践ビジネス英語・しごとの基礎英語

■7-1■

Millionaires are
a dime a dozen.


日本語訳:
100万ドル長者は
ありふれた存在です。

millionaire」は、以前は極めてレアな存在であった。しかし、現在では、それほど珍しくない。
最近では、ニューリッチという考え方が出てきている。不動産を含めず、預金や株式などの流動資産だけで、100万ドルを所有している人のことである。
全世界で1,000万人以上、日本でも200万人近くいると言われている。10万人のまちであれば、1,500人以上になる。
さて、後半の「a dime a dozen」は、何かの商品が10セントで1ダースも買えるほどありふれているという意味である。
100万ドルと10セントの対比がシャレていてカッコいいと思う。


■7-2■

I'm afraid
we might be
fighting on uphill battle.

日本語訳:
不利な戦いを
私たちは戦っているのかも知れないと
私は危惧しています。

ビジネスは、競争相手とマーケットシェアの獲得を巡る戦いである。
この文は、戦いの環境が、有利か不利かを問題にしている。杓子定規に言えば、「有利な」は「advantageous」、「不利な」は「disadvantageous」であるが、この文は比喩的に表現されている。
説明するまでもないが、傾斜地の戦いは、上にいる方が有利である。それ故に、「fight on uphill battle」は「丘を登りながら戦う」ことであり、不利なのである。
単に「disadvantageous」と言うよりカッコいいと思う。


■7-3■

These two companies
are two peas in a pod.


日本語訳:
それら2つの会社は
瓜二つです。

おそらく、事業領域、つまり製造販売している商品が同じであったり、規模や財務構造が似ていると思われる。
無理やり直訳すると、「瓜二つ」は「two cucumbers」ということになるが、この表現「two peas in a pod」でわかるように、英語では「瓜」ではなく、「豆」であり、「一つのサヤの中の二つの豆」ということである。
そもそも、「瓜二つ」が「exactly like」という意味であることは、学習しなければ理解できない。これに対し、「two peas in a pod」は、直感的に理解できる良い比喩であると思う。


■7-4■

In this business field,
we should stay
ahead of the game.

日本語訳:
このビジネス分野では
ゲームの先頭に
私たちは留まるべきです。

ビジネスは、生活とプライドを賭けたゲームの側面を持っている。
ゲームのルールは、コストを削減してブランドイメージを高め、販売促進を図り、大きなマーケッシェアを獲得し、大きな利益をあげることである。
冒頭の「In this business field,」があることにより、「the game」が単なる遊びのゲームではないことがわかる。
いつかは使ってみたい表現である。


■7-5■

I’d like you to
update the branding strategy.

日本語訳:
ブランド戦略を更新することを
私はあなたにお願いしたい。

20年以上前から「update」は「アップデイト」というカタカタ英語として、当たり前のように使われている。パソコンOSや多くのソフトにはアップデイトが欠かせないからである。
むしろ、この文のように「branding strategy」に使われてみると新鮮な感じがする。
update」に近い言葉として「renew」や「revise」があるが、「update」は、原形をほとんど変えずに変更されること、あるいは、新しい要素を追加することというニュアンスがある。


■7-6■

I have a feeling that
there's a catch
to this story.

日本語訳:
この話には
落とし穴がある
ような気がする。

恥ずかしながら、この文に出会うまで、「catch」に「落とし穴」という意味があることを知らなかった。そのものズバリは「pitfall」、「罠」全般は「trap」であるが、「catch」は「捕まること」から転じて、この意味を持つようになったに違いない。
冒頭の「I have a feeling」は、「I think」や「I'm afraid」という表現と比較して、「確信を持っていはいない」というニュアンスが含まれている。
文末の「story」は、ビジネス分野での表現としては多少情緒的であるが、時には許されると思う。
feeling」、「catch」、「story」の3つが揃って、使ってみたいカッコいい表現になっている。


■7-7■

That is a great idea.
How do we make it happen?

日本語訳:
それは素晴らしいアイディアです。
どうしたら私たちは実現できるでしょうか?

「実現させる」は「realize」という動詞で表現できるが、この文の「happen」や「come true」は、文法的に言えば、自動詞表現であり、これに使役動詞の「make」を加えることによって 、「実現させる」という意味になる。
さて、「make it come true」の場合は、「夢」を実現させるというようなニュアンスがあるが、「make it happen」はそこまで難しくないように思われる。
この後半の文は、疑問文になっているが、「Let's make it happen」という、積極的な表現こそ、使ってみたい表現である。


■7-8■

You need to
have proof of address
to open a bank account.

日本語訳:
銀行口座を開設するには
住所を証明するものを
あなたは必要としています。

proof」を最初に目にしたのは、「water-proof」、つまり腕時計の「防水」という表示だったと思う。
その後、「prove」という動詞の派生語であることを学んだ。
さらに、システムの安全性に関する3原則の中に、「fool proof」というものがあることを知った。因みに他の二つは「fail safe」と「redundancy」である。
さて、最近では「evidence」という言葉が頻繁に使われるようになったが、「proof」とは究めて近い意味で使われる。


■7-9■

I don't mean to pry
but I'm afraid you are in trouble.

日本語訳:
立ち入るつもちはないですが
私は、あなたが困っていると危惧しています。

pry」は「詮索・詮索する」という意味である。わずか3文字で、これほど難易度の高い言葉は稀である。
この文の「mean」は、「意味する」より、「意図する」と訳すべきであり、「What do you mean?」で使われる「mean」である。
さて、日常生活では、「詮索するな」という固い表現が使われることは少なく、その結果、「pry」も使われない。その場合は、「Don't be nosy.」のような表現が使われる。「nosy」は「鼻を突っ込んでいる」という意味の形容詞である。


■7-10■

Why don't we look at
this particular matter
from the shareholders' perspective?

日本語訳:
株主の視点から
私たちは考えてみませんか?

Why don't we」は、疑問文の形をとりながら、「Let's」文とほとんど変わらない。疑問文なので、ニュアンスとしては、相手の意向にも配慮があると言える。
この文の使ってみたい表現は、文末の「from ~s' perspective」である。「perspective」に初めて出会ったのは、高校の美術の授業ではないだろうか? 「透視図」という意味を学んだと思う。
この文にあるように、立場によって見える景色が違うということである。