私は、この数年、北本市の国際化を進めたいと考えて、手始めに、親日国として有名なマレーシアへの訪問を繰り返している。
マレーシアを含むASEAN諸国は、国際語としての英語教育に、日本以上に力を入れている。シンガポールが突出しているが、マレーシアも水準が高い。
そこで、私としても、自分の英語力に磨きをかけるべきだと考え、勉強を続けている。
この間の教材として、NHKの英語教育プログラムを活用している。
そうした勉強の中で、実際に使えれば「カッコいい」と思える英語表現をピックアップすることにした。
若い方々に参考にしていただければ幸いである。
なお、私が勉強に活用し、ここに引用した英語表現は以下のNHK教材である。
*おとなの基礎英語・おもてなしの基礎英語・入門ビジネス英語・実践ビジネス英語・しごとの基礎英語
■8-1■
Let's agree
to disagree.
日本語訳:
意見が一致しないことに
同意しましょう。
「agree」という言葉との出会いは、「GATT」の[A]が「agreement」の頭文字であることを学んだ際である。
その後、日常会話で使われることを知って、少し驚いた。
さて、この文は逆説的なレトリックが洒落ている。使えたらカッコいいと思う。
さらに言えば、この表現の背景には「リベラリズム」の思想がある。中世のヨーロッパにおいて、カソリックとプロテスタントとの宗教戦争を通じて、異質であることを認めあう風潮が生まれ、リベラリズムの源流になった。
水掛け論に陥った時、この表現を使ってみたいと思う。
■8-2■
Christmas is
just around the corner.
日本語訳:
すぐそこまで
クリスマスが迫っています。
「クリスマスはもうすぐです。」を簡単に言えば「Christmas is coming soon.」であるが、これではつまらない。
「is coming soon」も擬人化と言えないこともないが、「is just around the corner」は、友人が近所の街角までやって来ているというニュアンスになる。
主語を「Christmas」ではなく、「平和な時代」や「新しい世紀」などに替えて使ってみたい表現である。
■8-3■
A picture is worth
a thousand of words.
日本語訳:
千の言葉に
一つの絵(写真)は値します。
日本の諺であれば、「百聞は一見に如かず」ということになる。大学受験時に典型的な英語の諺を覚えたが、「百聞は一見に如かず」は「Seeing is believing.」であった。直訳すると、「見ることは信じることである」であり。少し哲学的だと思った記憶がある。
この項の文を英語で説明すると、「What you see is more important than what you hear.」ということになる。つまり、単に「a picture」と「a thousand of words」が等価であるということではない。
■8-4■
It's such a big decision
to make.
日本語訳:
決めるには
大変大きな決断です。
この表現は、個人的な事象に用いるには、少し形式的で固い表現である。
日常会話的には「I can't make up my mind.」という表現がぴったりである。
文末に「to make」あるが、これは[such」に呼応して付加されていると思われる。言い換えれば「It's such a big decision that I can't make up my mind. 」となり、「決断できない」という意味を含むと考えるべきである。
■8-5■
Let's save that
for later.
日本語訳:
後のために
それを取っておきましょう。
「save」は、様々な意味で使われていて、しかもどれも身近な意味である。私の場合は、パソコン操作で使うことが多い。また、プロ野球のセーブポイントなどもよく耳にする「save」の使い方である。この文は、例えば、ビジネスプレゼンテーションにおいて使われるケースである。その際に、話の組み立て上、後ほど説明する予定の部分を途中で質問されてしまうことがある。この表現はまさにこの場面で使われる。
ただし、クライアントとの関係が、友人並みに親しいことが前提である。
そうでない場合は、「Let me explain for later.」、あるいは、そこで答えてしまうことにして、「You have a point.」と言うこともできる。
■8-6■
Many tourists are really
into Japanese cuisines.
日本語訳:
多くの旅行客が
日本料理に
本当にはまっています。
日本料理の人気は大変なものである。日本へのインバウンドの旅行客も日本料理を楽しみにしている。
中には、さらにマニアックになって、道産子料理や土佐料理というピンポイントのファンも増えているという。
このようなマニアックな人々を「into」だけで表現できてしまうとは驚きである。
「be addicted to」や「be crazy about」という表現もあるが、前者は食事には相応しくないし、後者も音楽の趣味などに使われると思う。
こう考えると、「into」は広く使える表現である
ことに気づく。
■8-7■
How does two months sound
for preparing your proposal?
日本語訳:
あなたの提案の準備のために
2ヵ月はどう感じますか?
ビジネス交渉において、この文のように、納期などの時間に関する応答は必須のことである。
例えば、「Is it enough ~」や「How about ~」という表現でも質問することはできるが、この文のように、「sound」が使えると、柔らかなニュアンスが出せる。
因みに。「sound」にこのような意味があることを知らなければ、話にならない。使ってみたいというよりも、使えるようにしておきたい表現である。
■8-8■
Should we bow to
the wishes of the majority?
日本語訳:
多数派の願望に
私たちは屈しなければならないか?
「bow」はお辞儀をすることであるが、英語文化圏では、日本ほど軽いものではない。「負けを認める」ことを意味することもある。
半世紀前には、「シャッポを脱ぐ」という表現もあったが、すでに死語になっているようだ。
さて、20世紀の最後になって、開発途上国での家電販売競争において、日本は中国や韓国の後塵を拝した。
高性能で高価格な商品を求める層がマジョリティではなかったからである。
この文は、マーケティングにおいては、際限なく繰り返される疑問文であろう。
■8-9■
They will give
your proposal
high marks.
日本語訳:
あなたの提案に高い評価を
彼らは与えるでしょう。
ビジネスの世界では、様々な局面で評価されることになる。最終的には消費者やユーザーの評価が、ビジネスの成否を決めるが、その上流のBtoB取引でも評価されることもある。
この文の状況は、例えば、広告代理店がクライアントに対して、販売促進計画の提案に対する関係者の発言のようである。
「高く評価する」は「highly evaluate」という固い表現もあるが、学業成績で使われる「high marks」の方が親しみやすい表現である。
■8-10■
Nobody knows
whether he is a vulture fund
or a white knight.
日本語訳:
彼がハゲタアファンドか
救世主か
誰もわからない。
最近のビジネスの世界では、「ハゲタカファンド」も「ホワイトナイト」も一般的になっている。
後者は、カタカタ英語でも同じであるが、前者の「ハゲタカ」が英語では何かを知らい人も多いと思う。しかし、今後は遭遇することも増えてくると思うので、この際「vulture fund」として覚えておく価値がある。
因みに、「white knight」は日本語では「白馬の騎士」ということであるが、ある企業がTOB(敵対的買収)されそうな時に、助けに入る正義の味方のことである。